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【現地レポート】女子決勝 JX-ENEOSサンフラワーズvsデンソーアイリス「魔物を倒して成し遂げたV5」

 皇后杯の5連覇。その難しさは、1931年の第1回大会から続いてきた、これまでの長い歴史が雄弁に物語っている。

現在Wリーグを9連覇中で、今シーズン“V10”を目論むJX-ENEOSサンフラワーズでさえ、前身のジャパンエナジーやJOMO時代を含めても、皇后杯の5連覇は成し遂げたことがなかった。第67~70回大会や、第75~78回大会で4連覇を成し遂げたものの、どちらもその翌年大会で苦い敗戦。また、第50~53回大会、第57~60回大会ではシャンソン化粧品が4連覇を果たしたが、このときも5連覇にはあと一歩届かなかった。過去に5連覇の歴史を語るには、第31~38回大会で8連覇を成し遂げたユニチカ山崎(ニチボー平野時代を含む)のみで、すなわち1960年代まで遡らなければならないのである。

皇后杯には、大会5連覇を阻む“魔物”がいる――。JX-ENEOSが、その存在をまざまざと思い知らされたのは、5年前の第79回大会だろう。当時、Wリーグ前半戦を全勝で折り返して大会に臨んだJX-ENEOSだったが、決勝はトヨタ自動車 アンテロープスに69-90でまさかの完敗。当時ルーキーだったトヨタの㉔栗原 三佳選手に3Pシュート7本を含む23得点を許し、白星を献上する形になったのだ。

だからこそ、今大会のJX-ENEOSは「前回5連覇を逃していたので、そのリベンジという思い」(⓪吉田 亜沙美選手)で、チーム初の偉業達成に向けて燃えていた。

準決勝では宿敵・トヨタ相手に一つの山場を迎えたが、並々ならぬ集中を見せて78-52と完勝。勢いに乗って、チーム初の5連覇が懸かる決勝戦へと進出した。相手は、今季まだ対戦していないデンソー アイリス。3年前と2年前にも同カードで決勝を行い、いずれもJX-ENEOSが勝利しているため、デンソーにとっては“三度目の正直”となる初優勝を目指す戦いとなった。

すると、準決勝と打って変わって、JX-ENEOSは出だしからなかなかリズムに乗れない。チームの大黒柱となる⑩渡嘉敷 来夢選手や㉑大﨑 佑圭選手が、デンソーの⑧髙田 真希選手や⑫赤穂 さくら選手といったフィジカルの強い選手相手になかなかシュートを決め切れず、ガード陣も普段なら珍しいミスが重なった。

逆にデンソーは、JX-ENEOSの堅いディフェンスに簡単には攻め込めないものの、髙田選手がジャンプシュートを1本も落とさず確実に決めていき、第1ピリオドを終えて16-15と1点リード。点数的には互角だが、デンソーペースの立ち上がりになったと言えるだろう。

それでも、「第1ピリオドはオフェンスの足が止まっていたのと、ディフェンスでは相手へのアジャストができていなかった点で、苦しい試合になりました。しかし第2ピリオドからは自分たちのバスケットができるようになりました」とJX-ENEOSの佐藤 清美コーチ。特に、「どうしても点数を早くほしがるあまりインサイドを見る時間が長く、オフェンスが重くなってしまっていたので、第2ピリオドはサイズを少し落としても大沼(美琴選手)を入れて動きのあるオフェンスを求めました」と、オフェンスを修正。選手たちもその要望に応えて吉田選手、㉓大沼 美琴選手の3Pシュートで逆転に成功し、外角のシュートが決まり始めたところで、今度は渡嘉敷選手らがペイントエリア内で大暴れ。前半最大点差となる11点リードを奪い、第2ピリオドを終えた。

こうして良い流れで後半につなげたJX-ENEOSは、第3ピリオド以降も大﨑選手や#52宮澤 夕貴らが得点を重ねてリードをグングンと広げていく。その後はベンチメンバーも多く起用しながら点差を保ち、84-62でタイムアップ。結局、各ピリオドの得点でも相手に劣ったのは第1ピリオドのみで、第2ピリオド以降、うまく立て直しての快勝となった。

終わってみれば、全試合20点以上の差をつけて、5年連続22回目の優勝を成し遂げたJX-ENEOSサンフラワーズ。それでも、キャプテンの吉田選手は「リバウンドのトータル数でも負けているので、しっかり修正して(リーグの)後半戦に臨みたい」と課題を述べ、「決して強いチームではないし、まだまだこれから成長していけるチームだと思います」と満足した様子を全く見せなかった。

この飽くなき追求心こそ、JX-ENEOSの強さの理由の一つだろう。皇后杯に潜んでいた“魔物”の正体は、驕りや気の緩みだったかもしれないし、勝者だけにのしかかるプレッシャーだったかもしれない。いずれにせよ、その魔物を倒して手にした5連覇は、最強を証明するにふさわしい栄冠だった。

ただ、もちろんここがゴールではない。JX-ENEOSサンフラワーズが見据えているのは、皇后杯5連覇&Wリーグ10連覇という“2冠”達成。もう一つのひまわりを咲かせるべく、JX-ENEOSはこれからも強さを追い求め、高みを目指していく。

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